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書道コラム


 

王羲之を学んだ王鐸

「晋人は韻を,宋人は意を,明人は態を尊ぶ」と言われるように,中国書道史において明末には華やかで力強い書風が流行しました.そんな明末の書家の中でも王鐸は連綿草の名手として特に有名です.皆さんも一度は臨書したことがあるのではないでしょうか.

王鐸と聞いて真っ先に思いつくのは長条幅の連綿草だと思います.しかし条幅での王鐸の草書作品は全て臨書で,自運作は行書で書かれています.一方,巻子では自運の草書作品が数多く見られます.これは一体どういうことなのでしょう.

王鐸が条幅に連綿で草書を書こうとしたとき,まず終筆の処理に苦心したと考えられます.もともと終筆が止められている字を複数連綿させること自体,相当難しいことです.

王鐸はやはりここで二王の力を借りたのではないでしょうか.王鐸の連綿草はほとんどが二王の臨書です.二王の草書は草書の典型であり,ぎりぎりまで簡略化されています.このように簡素で字形も整った二王の草書は比較的連綿しやすいです.また二王,特に王羲之は字の配置に優れ,作品を俯瞰して様になっています.

それに対して巻子の場合は行が多く,一つ一つの行間をそこまで気にする必要がありません.連綿しやすい字も連綿せずに終筆ではらっています.巻子の1行5字や6字を全部連綿すると,つまらないものになると判断したのでしょう.王鐸としては条幅よりも気楽に書けるので,二王の帖自体を参考にしなくても,自運を書くことができたのだと思います.

皆さんも王鐸の巻子に触れてみてください.王鐸にはまだまだ謎が多いですが,条幅と巻子を見比べてみることで,何か新しい発見があるかもしれません.


(執筆担当: M. Y.)

王鐸の臨書作品はこちら


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